朗読稽古のスケッチ
宮沢賢治・作「土神とキツネ」考 その1 ~嘘をつく心持ち~ 恋する人に自分を伝え、認めてもらいたいという欲求は誰にだって多かれ少なかれあるものです。相手の関心を自分のほうに引き寄せたいと望むが故に「エーカッコウシイ」の嘘をつきます。 生来の性…
水仙月の四日(宮沢賢治・作)のなぜ? 「水仙月の四日」(すいせんづきのよっか)は、『注文の多い料理店』に 収録されている作品です。当時はあまり評価されなかった作品です。 希少価値の高いあまりに美しい雪山の遭難文学です。 しかも遭難した赤いケット…
ある夜じさまが急な腹痛を起こし苦しみもだえます。怖くて夜中に一人でセッチンに行けなくても毎晩必ず付き添ってくれる大好きなじさまが腹痛で苦しみ悶えているのです。豆太はじさまとたった二人だけの山小屋暮らしです。自分の他には誰一人頼れる人はいま…
モチモチの木・考 その2 実年齢のリアリティーを大事にした朗読をしてみたい 作者の斎藤隆介さんは68歳で亡くなられています。このモチモチの木は54歳の時の作品。作者に「何故じさまの年齢を64歳という設定にされたのですか?」とその意図をお尋ねしたくて…
モチモチの木・考 その1 幼い子にとって暗がりは恐怖です 作者の斎藤 隆介氏は1917年1月25日生まれ~1985年10月30日(68歳没)の日本の児童文学作家。1917年ということは大正6年、私が生まれる36年前です。もし仮に斎藤隆介さんが今年御存命なら齢101歳です。…
等身大の私で『モチモチの木』 3月は私の朗読仲間とやっている朗読会『ひねもす朗読会(第34回)』と私の主催する『第20回朗読会 ばぶの会』の二つがあります。ひねもす朗読会は3か月に一遍のペースで開催しています。私の主催する朗読会は2カ月に一遍(…
『氷河ネズミの毛皮』そして『水仙月の四日』 その5 雪山で吹雪に巻き込まれて立ち往生し遭難しかかった子どもは、ゆきわらしの助力で命拾いします。最後に死なずに生き延びてくれる登場人物の物語は賢治さんの作品では少ないです。生き延びてくれるとホッ…
『氷河ネズミの毛皮』そして『水仙月の四日』 その4 ベーリング行きの最大急行の同乗客の中に黄色い硬い帆布の上着を着た若い船乗りらしい青年がいます。この青年のイメージが今ひとつ掴みきれないままに朗読の稽古を進めていました。青年は自分にだけ聴こ…
登場人物たちのセリフの言い回しは朗読をする人にとって一番工夫のし甲斐があるところで一番おいしいところです。朗読を始めた最初の頃はいわゆる声色(こわいろ)を使って読んでいたという傾向がありました。そのほうが良い朗読 (?) というような勝手な思…
私にとって「水仙月の四日」のほうが先に出合っていた作品(宮沢賢治ワールド)なので正直いって賢治さんが「氷河ネズミの毛皮」のような作品世界も描いているのは新鮮な発見でした。どことなくミステリアスな雰囲気を漂わせながら始まるお話しの世界。「ベー…
私の主催する朗読会で近々に取り上げようとしている宮沢賢治さんの2つの作品です。 先ずは氷河ねずみの毛皮からお話しの冒頭近辺にさらりと出てくるこの文章に心釘付けです。「(前略)ところがそんなひどい吹雪でも夜の8時になって停車場に行って見ますと…
ばぶさん『水仙月の四日』にあそぶ 雪の情景描写がなんとも綺麗なのです。「・・・雲もなく研き上げられたような群青の空から、まつ白な雪が、さぎの毛のように、一面に落ちてきました。それは下の平原の雪や、ビール色の日光、茶色のひのきでできあがった、…