donpo9’s blog

脳卒中を体験した人の生活の楽しみ具合レポート

『氷河ネズミの毛皮』そして『水仙月の四日』   その2   (2017.12・04)

私にとって「水仙月の四日」のほうが先に出合っていた作品(宮沢賢治ワールド)なので正直いって
賢治さんが「氷河ネズミの毛皮」のような作品世界も描いているのは新鮮な発見でした。
どことなくミステリアスな雰囲気を漂わせながら始まるお話しの世界。
ベーリング行きの最大急行」に乗るお客たちの描写。
北極海方面に生息する野生動物の毛皮を目当てに乱獲に身をやつす人間たちの傲慢さ。
この人間たちの身勝手さに怒れる動物たちの反撃。列車を強硬停車させ乱獲者たちを拉致しようと車内に乱入します。乗り合わせていた水夫の若者が済んでのところで拉致を阻止します。ここの描写が実にかっこいいのです。まるでアクション映画のワンシーンを連想させられます。青年は
『おい、熊ども。貴様等のしたことは尤もだ。 けれどもな 俺達だって仕方ない。
生きているにはきものも着なけぁいけないんだ。 おまへたちが魚をとるようなもんだぜ。
けれどもあんまり無法なことはこれから気を付けるようにいうから今度は許してくれ。
ちょっと汽車が動いたらおれの捕虜にしたこの男は返すから』

賢治さんが、さりげなく自然保護や文明批判をしている作品です。