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脳卒中を体験した人の生活の楽しみ具合レポート

新編 『ぐるりんりん』より ~おむすび~

新編  『ぐるりんりん』より ~おむすび~    作・ 曵田原 宏

 

 

※年少組向けの8つの短いお話です。

どのお話から読み始めても次のお話につづきます。

だからこのお話は8つまるごとで『ぐるりんりん』という循環童話です。

 

1 おむすび        (第3稿)              

2 おむすび屋さん    (第4稿)              

3 くまの家族のおふろ  (第4稿)              

4 わにの背中で       (第4稿)              

5 わに泳ぎ        (第3稿)              

6 でんしゃごっこ     (第2稿)              

7 おおなわとび      (第4稿)             

8 青い帽子        (第2稿)             

 

今回は1/8 第1話  おむすび   (第3稿) 

 

   

ミギー坊やは青が好き。青い帽子に青い半ズボン     

青い靴を履いててくてく歩いていると、むこうから 

ダリーちゃんが大好きなピンクのスカートを 

ひらひらさせてやってきました。

「ミギーぼうやどこいくの?」

「やあ、ダリーちゃん、こうえんにいくところ。」

「いっしょにあそびましょ」

「うん、いいよ。いっしょにあそぼう」

公園に着くと二人はブーランブーラン ぶらんこをしました。

階段をトコトコのぼって、

すべり台をスルスルスルスルーと滑り降りました。

沢山あそんだのですっかりおなかがすきました。

そこで二人はお砂場の砂でおむすびをつくることにしました。

お砂場に誰かが置き忘れた小さなバケツがありました。

「このバケツ、 ちょっとつかわしてね―」

と目には見えない誰かさんに向かって大きな声でことわって、

水飲み場の水道でバケツにお水をためました。

両手で目の高さにバケツを持ち上げて砂場まで運びました。 

こぼさないように、こぼれないように、とお水を見つめました。 

そおっと、そおっと運びます。

お水は歩くたんびにバケツの中でプルルンルンと輪を描きました。

歩くのをやめるとお水は静かになります。

だんだんお砂場が近づいてきて早く運び終えたくなりました。

今度はさっきよりちょこっとだけ大股にして歩いてみました。

バケツの中で右に左に行ったり来たりのお水です。

まるで「はないちもんめ」みたいに動きます。

お砂場はもう目の前です。

バケツが重たくて腕ががくがくしてきました。

ところがこんなに頑張って運んできたのに

なんと、お砂場の三歩手前で躓いて

お水がじゃばぁ~。

バケツの中に残ったお水は両手のひら一杯分位だけでした。

それでも そのお水を乾いた白砂の上にかけると

お目当ての黒砂ができました。

ミギー坊やはギュッギュッギュゥウーっと作りました。

「はいこれぼくのつくったおむすびだよ。たべて」

ダリーちゃんはフワフワフワァアと作りました。

「はいこれあたしのつくったおむすびよたべて」

「ありがとう」といって

二人はおむすびを取り替えっこして食べる真似をしました。

「これかたくってたべられないわ」とダリーちゃん。

「これふわふわでこわれちゃったよ」とミギー坊や。

そこで二人は

「かたすぎないで、やわらかすぎないで、ちょうどいいおむすび」

「かたすぎないで、やわらかすぎないで、ちょうどいいおむすび」

といいながら一緒におむすびを作りました。

「いただきまーす。もぐもぐもぐ」

「あーおいしかった。ごちそうさま」

「もっともっともぉ~とたくさん おむすびつくろうか」

「うん、いいよ。もっともっともぉ~っとね」

                              ~お・し・まい~